特殊武器防護(核兵器)

特殊武器防護(核兵器)

核兵器が人体に及ぼす影響

1、爆風による障害には、直接に爆風を受けた場合の1次傷害

  と掩体の埋没、建物の倒壊、飛散物等による2次傷害があり、

  2次傷害に対し特に注意する必要がある。

2、熱線による傷害には、爆発時直接生ずる熱傷

  2次的な火災による熱傷、窒息および閃光による1時盲目、

  あるいは永久盲目がある.

  1時盲目は昼夜により異なるが3〜20分で自然に回復し、

  永久盲目は火の玉を直視したときに生ずる。

3、放射線による傷害

  1、初期放射線による傷害

  一般的な症状は、放射線を受けた後数時間以内に頭痛、

  おう吐等の前駆症状が現れ、次いで数日から23週間の

  潜伏期を経て、発熱・吐き気・下痢・出血・脱毛等の

  急性症状が現れる。

       受線量別症状

  受線量

(単位:レントゲン)

前駆症状

回復など

  50以下

  100

  150

  200

  300

  400

 

  600

  700以上

症状なし

被爆後数時間内に悪心、おう吐

同上

被爆後25時間内におう吐

全身倦怠感、不安感 

被爆後2時間以内に全身衰弱感、

26週間に眠い感じ、頭痛、おう吐

1時間以内に全員無能力化

 

被爆直後全員無能力化

同上

 

50%軽傷

20%歩行不能

50%歩行不能

20%死亡

1ヶ月以内に

50%死亡

2週間以内に

90%死亡

100%死亡

  2、残留放射線による障害

   残留放射線による障害には、身体の外部から照射される場合と

   内部から照射される場合がある。前者は汚染地域において周辺

   から照射されるか、放射性物質が付着して生ずる。

   後者は呼吸・飲食に際し、または傷口から放射性物質が身体に

   侵入して生ずる。

   一時に多量照射されたときの症状は、初期放射線によるものと

   同様であるが、徐々に照射されたときの症状は緩慢である。

以下は、個人でできる核兵器に対する防護処置。

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要旨

通常、核爆発の初期効果に対する防護を重視し、合わせて残留

放射線に対する防護を考慮する。

爆発前の防護準備が特に重要であり、これが良好な場合は

事後の防護を容易にする。

また、核爆発時は、迅速反射的に防護動作を行い、かつ2次的被害

を防止する。事後必要に応じてフォールアウトに対する汚染防止と

除染を行う。

事前の防護処置

身体は、2枚以上の衣服、防護用のたれ、および手袋を着用するとともに、

襟を立て、袖口を閉じ、出きるだけマフラー等を利用して皮膚の

露出部を少なくする。汚染防止のため、要すれば雨衣、

ビニール布等を準備する。中性子に対する防護のためできるだけ水でぬらす。

爆発時の動作

閃光を感じたならば、反射迅速的に次の防護動作を行う。

掩体内にいる場合は横穴の中に入り、うずくまり露出部を覆う。

なるべく安定した姿勢をとり、転倒などによる傷害を防止する。

平地においては、直ちにくぼ地、盛り土の陰等に伏せて手で顔、

耳を覆う。手袋をつけていないときは、手を腹の下に隠す。掩遮物が

12歩以内の至近距離にない場合には、直ちにその場に伏せる。

爆発時は火の玉を直視しない。

爆発直後の処置

爆風が通過し飛散物が納まるまで静止する。その後周囲の状況を観察し、家屋の倒

壊、火災等による危害を避ける。

やけど、外傷の有る場合は応急処置を行う。

爆心地に近い場合は、フォールアウトに対する防護の処置を行う。

救急処置

爆風および熱線による傷害は、一般の外傷および熱傷に対する手順に従い、止血、傷

口の保護、ショックの防止を行う。また骨折には応急的に副木を当てて固定する。

放射線による傷害の兆候が発現した場合は、努めて激動を避け、休息および栄養に注

意して体力気力を増進する。また、外傷を併せて受けている場合は、まず外傷に対す

る処置を行う。

状況が許せば速やかに医師の治療を受ける。

フォールアウトの降下に対する処置

核爆発後フォールアウトの降下の恐れがある場合は、速やかに防護について準備す

る。

フォールアウトの降下の警報を受けた場合は、掩体等に入り、開口部を覆い、装面

し、要すれば軽防護衣を着用する。

やむをえない場合は、地形・地物特に建物・木陰等を利用して掩遮し、装面するとと

もに軽防護衣、雨衣等を着用する。

フォールアウトの降下が始まるときは、できる限り姿勢を低くする。

汚染地域内における処置

汚染防止の処置を絶えず点検し修正する。この際、姿勢を高くしたり、

移動することはなるべく避ける。

フォールアウトの降下終了後、身体および被服についたほこりを払い、

出きれば周囲の地面を薄く削り取り遠くへ捨てる。

降雨の場合は、努めて身体がぬれないよう、また雨水が掩体内に流入しないように留

意する。

汚染地域内を移動するときは、装面し軽防護衣等で身体を覆い、ほこりをかぶらない

ように注意して迅速に通過する。

適宜応急的な除染を繰り返し行う。また、汚染したものは飲食しないように注意す

る。

身体の除染

汚染した場合は、絶えず応急的に、身体に付着した放射性物質の除去に努める。被服

等は、装面してブラシ、木の枝等で払い落とすとか、脱いで振り落とす。露出した皮

膚は、湿ったタオルでふき取るか、あるいは汚染していない水で洗う。手は汚染物に

なるべく触れないように注意する。

汚染地域外に出て、除染所等を利用するときは、次の要領により精密に除染する。

1)汚染した衣服を脱ぐ。

2)身体を洗う。

 ア まず手を洗い、身体は何回も水をかけ皮膚をよく洗う。特に髪・つめ・   

耳・皮膚のしわ・股等は注意して綿密に行う。

 イ シャワーを利用する場合は、汚染水が、目・口・耳・鼻等に入らない

   ように注意する。

 ウ できるだけ湯・石鹸・ブラシ等を利用してよく洗う。

 除去困難な場合は、合成洗剤・造錯剤等を利用すると効果がある。

 エ 洗い流した水は、汚染を広げないように処置する。

3)洗浄終了後は、測定器で各部を精密に検査し、除染の不十分な場合は 繰り返す。

4)汚染していない被服を着用する。

以上を持ちまして、核兵器を知ろうのコーナーは一巻の終わりと

させていただきます。

どうぞ以上が役に立たないことを祈りながら・・・・・・

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